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どうも民主党が迷走しているように思われるのだが。。。

 不必要な事業の中にこっそり必要な事業も紛れ込む中で、劇場政治的に行われた事業仕分け、という印象を持ち、それを契機に私は民主党の政治姿勢に疑いを持ち始めているのだが。。。その事業仕分けの後は国家戦略局の出番なんですよ、と仕分け政治家は戦略局に託して(丸投げして?)まずは年度内2次補正予算で動く、と息こんでいたはずの菅国家戦略局長。この土日テレビに盛んに出て、いよいよ出番なのかと思っていたらとうとう今週末まで補正予算案は出てこずに、出てきたと思ったらここに至って亀井金融大臣が国民新党としてその補正予算額に難色を示し、また来週に先送りされた。

 話はぽんぽん飛ぶけれど、今の時代は本当に情報量が多く、流れが速い。むやみに年をとった唯一の価値は数多くの情報は長続きせずすぐ淘汰され、歴史に残る情報はごく少ない。そういうものに対するアンテナが立ちやすくなることだけが、確たる生産性のない人生においても多少は年取ることにおける意味のあること、と思ってきた。逆に言うと人生時間がそれほど長くは無いことを無意識裡に直感するから、時間の逆算から余り意味のない情報に振り回されたくなくなるのだ。そのような自信が少しついたと思っていたのだが、実はいまその点もぐらついている。

 民主党の最初の勢いはどこに行ったか?各大臣の就任から2週間ほどの矢継ぎ早の政策方針はどこへ行ったか?多くの話題を提供したが、はて、立ち止まって考えてみると目に見える成果は何かあったのか。私は自分が分からないことはコメントを避けたいと思いながらも、沖縄の問題も方向性だけでも見えているといえるだろうか。疑問である。

 そこでまた、事業仕分けである。事業仕分けは見直し項目は全体像として議論内容を読まないと断定できないものがあるので、「廃止」方針だけ列挙しよう。廃止予定は
年度途中の公共事業予算・生活路線の維持目的バス運行対策費補助(うち車両購入費補助)・マイカーからバス利用転換を図る対策事業・高速バス路線再編調査事業・次世代自動車導入加速モデル事業・農道整備事業・フードバンク活動を行うNPO補助・「マルシェ・ジャポン」事業・食糧輸入安定化対策事業・森林整備支援・若者自立塾・障害者保健福祉推進事業・学校ICT活用推進事業・地域科学技術振興・産学官連携事業・理科支援員等配置事業・研究環境国際化の手法開発・サービス産業生産性向上支援調査事業・産学連携による留学生向け実践的教育事業・温暖化防止国民運動推進事業・環境金融普及促進事業・EST、モビリティ。マネジメントによる環境に優しい交通の推進・地域イントラネット基盤施設整備事業・国際平和協力センター・欧州復興開発銀行TAM/MASプログラム・財務省電子申請システム
などなど。だ~~と列挙してみたが、まだ他にもかなりの廃止事業がある。

 なぜこんな目が疲れるような項目を列挙したか。それは事業仕分けで精査されたものがどのように民主党の政策に今後反映されるのか、それこそが一番重要だと思うからだ。一般の人たちの関心も実は本当はそこにあるはず。しかし、いまだその大方針、方向性は示されていない。

 私が上記に「情報の流れが速い」と感慨したのは、9月に発足した民主党が大丈夫かどうかの判断が早すぎるかもしれないと自分自身を懸念する故だ。だが、余りにも懸念の要素が多すぎる。
 「事業仕分け」に関しては本来、まず国家戦略局で今後の政治における具体的政策方針を示してから始めるべきであった。それが逆になったものだから、かつまた財務省主計官が論点整理してからの各種事業の仕分けであったから。(でないと、実は多くのネット中継を見た人たちも事業内容の無駄は分からなかったのではないか?実際に仕分けの議論は論点説明シートで整理された内容が一番分かりやすく、それに沿って行われた印象が非常に強い)。そこに各方面の疑念が残った。
 むろんそれ以上にマジョリティの盛大な拍手があった。しかし、その拍手はいわば「祭りばやし」のようなもので、感情の昇華が一番の成果だったかもしれない。あれから短期間だけど、自分の思うところでは国民の全体性的な感情側面から見るとそのようなものであったような気がしてならない。
 であるとすると、つまりあれがあえて乱暴に言うなら「政治的な祭り」でしかなかったとすると、国民の熱意はあっという間に醒めてしまい、次には民主党に対して「無駄をはぶいた結果、われわれに何が残るのか?」。というところに関心が行くはずである。

 そこで2次補正である。私は何度か書いたように厚生労働行政に関心が少し高い。裏返して言うと、それ以外に関しては無知なわけで、沖縄基地問題を巡る社民党と民主党のスタンスの違いによるギクシャク(この場合の民主党のスタンス、というのも、実はわかりにくいのだが)も正直なところコメントできるものは無い。
 その上で改めて補正を見ると正直にいうと、これが目玉だ、というのが見付からない。ここが来年度民主党による政権の先駆け的な政策であるべきなのだけど。そのような雰囲気を持つ政策がどうも見当たらない。
 あえて言うなら「住宅版エコポイント創設」「電線の地中化」くらいだろうか?新しい産業として政策的な投資は。そして厚生労働関係で言えばせいぜい「雇用調整助成金の支給要件の緩和」くらいしか目玉がないのだ。つまり、いま企業が存亡の危機にあるところに、その従業員を休業補償で守るという部分。確かにそこは非常に重要なことだけど、いま現在失業中の人たちの雇用を創出する政策で明白なものは出てこない。私は前倒しでも、年金問題の記録調査員を国策として一気に雇用拡充すればいいと思う。そうすれば、年金記録問題も解決へのスピードが速まる。

 もう一つの目玉はひと言で言えば中小企業の金融による下支えだろう。ここには国民新党のこだわりどころだと思うのだけど、亀井さんは今日の時点でストライキ。とうとう今週中に補正予算が通らなくなってしまった。亀井さんは弱小中小企業への思いは良いのだけれど、スピードが必要だということも考えているのだろうか?と、素人ながら不安になる。年内の資金繰りでやきもきしているところ、エコポイントで恩恵を受けると思うところ、それらが時を逸すれば、と固唾を飲んでいるのではないだろうか?
 そして、ここでも菅戦略局長の国家戦略像が見えなくなっているのである。

 話を突然飛躍させれば、ガソリンスタンドも私はかわいそうな気がする。暫定税率はどうなるのか?このサブプライム以前からガソリンスタンドのガソリンの値段は常に安定せず、心労いかばかりか、と週末ドライバーに過ぎない自分でも思う。

 要は、民主党政権の政権奪取後の政策的な方向性が政権奪取直後に比べて非常に見通しが悪くなり、説明能力とともに期待をかけられた新方針の実効性が見えなくなり、説明する人たち、特に大臣たちの発信力がなくなり、何より総理大臣の腹のうちが見えなくなっている。

 税収の見通しが厳しくなり財務大臣と亀井大臣の関係がいいものになっていない。そんな気がする人も多いのではないか。特に僕は事業仕分けが始まる段階で財務省主導を気にしたのだけど案の定その通りになり、最近財務省に対する目も厳しい。

 デフレも手伝い、世論も財政規律派と景気回復派に分かれるだろう。ここで民主党が筋を通さない(通せない)ままでいき、景気の二番底に陥れば、後に「事業仕分け」はこの高速情報時代、一挙に評価が反転し、民主党の逆風が強まる可能性があると考える。民主党は踏ん張りどころに立っていると思う。
 そしていま民主党がもろくも崩れ去るとしたら(そのときは小沢一郎氏が動くときだろう)、日本の民主主義の危機だ。その意味も含めての踏ん張りどころなのだ。
 それだけ、いま民主党にしか託せないという危うい日本の政治状況なのだから、と偉そうに言ってしまうのです。

by ripit-5 | 2009-12-04 20:25 | 新政権