「べてるの家」から吹く風を読んでいます。

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 北海道は日高地方、浦河町の「べてるの家」は精神障害を抱えた人たちが自立した生きかたをし、その生活の中での取り組みが全国的な注目を集めている。中でも中心となって活動しているソーシャルワーカー向谷地生良さんの発想や思想、実践のあり方は極めて斬新で、すでに当事者たちが実践を通して力強く外部に発信している。

 もはや「べてる本」と云われるほど多くのべてる関係の書物がでていると聞くが、私も図書館で2冊借りてきた。そのうちの一冊は『ゆるゆるスローなべてるの家』という環境活動家の辻信一さんと向谷地さんの対談本で、向谷地さんの子どもの頃からの歩みや人生哲学が披露され、大変興味深かった。かなり読みやすい本でもある。

 そしてもう一冊が向谷地さん自身の著書、『「べてるの家」から吹く風』である。こころの障害を持つ人たち自身が抱える病いとしての大変な厳しさを、べてるの家は根本からひっくり返すように逆転させてみせる。

 現在「出動!爆発救援隊」の章を読んでいるが、不謹慎を承知で書いてしまうが、爆笑の連続である。本来であれば病気の当事者とその家族の暴力も含めた、病気との過酷で熾烈な戦いなのだが、向谷地氏を介在した発想の転換にはどうしても哄笑的な何かを呼び起こさずに入られない。それは勿論エスプリの利いたユーモアというわけではないし、ジョークというものでもない。何といったらいいのだろう?もっと「本質的何か」であり、社会的なルールを反転させるような新しい観念とでもいうべきものだ。-この本質的な逆転思考はとても文才が無い自分には伝えにくい。べてるの家の活動の本を読んで面白く読める人と、全く逆の反応の人があるような気がする。

 そこにはやはり向谷地さんという人が持つキャラクターと思想の内奥に何かを感じ取るかをしないと「ふざけた話」に聞こえてしまうスクエアな人も十分ありそうな気がするわけだ。おそらく私だとて、べてる本を読む、というところで留まることにおいて距離を置いているわけで、ある意味では大変失礼な話ではあろう。

 失礼を承知であえて付け加えると、つたない喩えとして、水木しげる氏の持つ関心・興味のセンスに加えて、赤塚不二夫氏の爆発的なナンセンスのセンスの両者がべてるの家の(この我らの生活常識から見たら)騒がしい日々のなかにあり、それがどうしようもなく爆笑的なものを呼び起こす。

 全体すべて読み通す前に感想を書いてしまうのは大いに問題だが(軽率な私はしょっちゅうそういうことをしているが)、そのようなことを感じてしまう自分である。

 全てを読み通した暁には責任を持って全体の感想を書きます。
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by ripit-5 | 2010-07-27 18:37