ビックイシュー・ジャパン・バックナンバー66

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 久しぶりにブログ更新。最近、「ホームレスの仕事を作り自立を支援する」雑誌、ビックイシューのバックナンバーを集めて読み始めているので、ランダムにその感想を。最初のうちは簡単にはいかないと思うが、出来るだけやりながら考えて、手短に要約してブログにコメントしていける方向に持っていきたい。

 まずはビックイシューの日本版、第66号。この頃はまだ札幌でも路上販売が始まっていないのでは?と思う。正確にはわからないが。2007年の2月15日号。表紙はハリウッドスター、ドリュー・バリモア。映画E.Tでの子役やチャーリズエンジェルシリーズなどにも出演しているらしい。個人的にはハリウッド映画にはほとんど関心がないので、良くは知らない。しかし、当人自身も薬物依存の時期などいろいろ波乱万丈な少女期を過ごしてきたらしい。

 毎号巻頭を飾るリレー・インタビューはなんと羽賀研二。いろいろとマスコミに言われてきた方ですが、当人にもいろいろな事情があったのがわかる。「ターニング・ポイント」がインタビューの核なので、このリレー・インタビューも著名人にある内面の弱さなどが赤裸々に語られるのが特徴。今後「次長課長」さんの人もインタビューで語る思いの時もあるだろうなあ。

 アーティストの紹介として、フランス人のグラフティ(落書き)アーティスト、ブレック・ル・ライトという人を取り上げている。彼はフランスの1968年革命に大きな影響を与えたシチュエーショニズム(状況主義)運動の影響を強く受けている人。状況主義といえば、個人的にはセックス・ピストルズのマネージャーだったマルコム・マクラーレンや、ピストルズのレコードジャケット、グラフイック・デザイナーを手がけたジェレミー・リードらも強い影響を受け、その実践、実験としてセックス・ピストルズを利用したと言われる。(利用したのは、マネージャーのマルコムだが)。実際は状況主義の実験の思惑ははずれていったのだろうが、個人的にはそのような後の英國パンクの理論構築にも影響を与えたシチュエーショニズムという運動にもこうして雑誌で再度ことばに出会って関心を持つところだが、日本ではまずほとんどこの運動の理論に関する本はないので、関心の深めようがないのが実体的なところ。
 ビックイシューのインタビューに答えるブレックの言葉では「芸術の道を選んだ時、同時に社会的な方向に目が向いた。芸術のための芸術に興味はない」といいつつも、「グラフティ(落書き)の大きな問題は攻撃性。攻撃的になるのは避けたい。グラフティをやるにあたっての責任がある。メッセージを発信するわけだから、思いやりのあるメッセージでないと」と。大人な発言。1951年生まれのアーティストだけに大人の落ち着きが出ているのだろう。

 そしてこの号の特集は「自殺させない社会へー自死は防げる」。バックナンバーの選択の基準はやはり特集の内容にある。特集でインタビューに答える人たちは今や著名となったNPO法人・ライフリンク代表の清水康之さん。他に元日弁連会長の宇都宮健司さん(この時期はまだ会長選出前)、一般医ー精神科医ネットワークの石藏文信さん、京都で自死遺族の語り合いの場を提供している石倉紘子さん。

 一般医ー精神科医ネットワークを主催する石藏さんはうつ傾向を深めた患者さんがまずは一般医に身体的不調を訴えているうちに精神疾患を抱えている患者さんが多いことに気づく。「心臓の医者だから、心臓に異常がある患者さんには驚かないけど、目の前で『自殺したい』なんていわれるとどうしていいかわからない」と胸の内の動揺を告白し、精神科医を密に連絡をとるうちにわかったことは「精神科医と一般医の連携不足」だった、ということを踏まえ、精神科医と一般医の交流、一般病院に気軽に心の問題を相談できる機関を紹介できるかたちを実践する。「後ろに精神科医が控えてくれると一般医も安心して治療できる。その交通整理に着手したかったんです」。

 多重債務者救済のスペシャリストとして当時著名だった宇都宮健司弁護士。ある意味怖い話が語られる。それは消費者金融と生命保険の問題。なんと、「消費者金融の多くは債務者に生命保険をかけている」。結果、自殺する債務者が後を絶たないと。「ある消費者金融では、借り手が自殺するとみんなで拍手するという話です」。背筋が寒くなる話だが、いまでもこのような闇金融はあるのだろうか?

 上記の宇都宮弁護士の話のように、ライフリンクの清水氏は自殺の複合的な要因について語る。「多重債務、中小企業経営者の連帯保証人の制度、自殺で生命保険がおりる生命保険の問題、介護疲れの人たちの心中もあります」。まさに現実制度として「連帯保証人」の制度や「生命保険」と自殺の問題は手をつけようと思えば、つけられる制度的な問題。
 また、心理面では「追い詰められた時に弱音を吐けない。特に中高年の男性などはつらいことをなかなか言えない土俵など価値観の影響もあると思います。一概にはいえないが、制度的なことが影響しているのは間違いない」。

 自殺対策の現場も自分たちの活動で手いっぱい、横につながる労力をさけないと。今から5年前のこの発言と現在はどうであろうか。良い変化はあったのかな、と気になるところ。
 清水氏がNHKのディレクターだったのは知られている話。その清水さんの発想の根源には、「生き心地の悪さ」の正体を明らかにしたいということにある。「それがたまたま自殺の問題と出会った時にかなり符合しました。究極の形である自殺の問題を切り口にして社会を見ていくと、みんなが感じている息苦しさとか、焦燥感みたいなものの正体がわかってくるんじゃないかなと思ったんです」。

 個人的にはこの発言になるほどと思った。清水さんを動かす原点はこの自分自身が感じる生き心地の悪さの正体をつかみたいということではないかと。それはおそらく、その原点は今も変わらないのではないか。

 以上、まずはビックイシューのバックナンバー紹介の1回目は第66号。懇意にさせてもらっている販売員さんからまだ今後、過去のバックナンバーは購入したいと思っています。いわば自分、ちょっとしたビックイシュー、マニア域に向かっているようで、それもまた楽しいw。
 自分で購入し始めたのはローリングストーンズが表紙の108号頃から。それ以後のバックナンバーも含め、現在は191号だから、その頃のものから一冊ずつ紹介するだけでもネタは十二分にある。1回目は思ったとおり長くなってしまったけれど、今後は出来るだけコンパクトに紹介する技術も身につけていきたいと思っています。

 ひとつ言えるのは、ビックイシューはまさに現在の課題ーを一貫して先取りしてきたこと。それはバックナンバー(BN)を読めばまず間違いなく言える。
 最初は販売員さんのために、というボランティア意識で購入してたビックイシュー。今では社会的課題を考える、自分で問題意識を持って考える上で欠かせない雑誌になりました。ですから、一冊ずつ焦点を絞って読んだり、あるいは着目してなかったところを読んだり(けして社会的課題ばかりを追求する雑誌ではない)して、ブログでBN紹介できればと思います。頑張らずに、でも意識してこのブログを再活用しますので、良ければたまに立ち寄って頂ければ嬉しいですね。
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by ripit-5 | 2012-05-26 21:46 | ビック・イシュー