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やはりなかなか進まず。

CPの立ち上がりが最近とみに遅くなってきた。また、言語ツールバーが出てこないのが常態になってきた。
すぐ書く上で紙とペン以外の不便はこのこと。

本はやはり2週間では1冊も読みきれなかった。故に、延長借り出しを申し込む
高村薫「マークスの山」、小熊「民主と愛国」、村上「羊をめぐる冒険」、リロイ・ジャーンズ「ブルース・ピープル」以上四冊。
幸い、リクエストカードはなし。

民主と愛国はやっと330ページといったところ。現代政治史というべきか、現代思想史というべきところだが、長年切れ切れに読んできた現代思想家というかオピニオンたちの語りを通史としてまとめてるのにはいい。ただ、目新しいわけではない。大事なのは読みやすさと俯瞰できるところ。

政治家は読んでください。保守も革新も。

高村薫はなるほど、これはハードボイルドサスペンスの書き手としての才気がつくづく分かる。今のところ、後半にさしかかろうというところだが、おおむね警察という組織集団内の葛藤、縄張り争い、現場人間とカレイの目になっている幹部職の犯罪とは別の警察組織内問題に深く食い込んでいる感じ。ただ、事実のような微細に亘る細部の観察は女性の書き手とはとても思えないもの。
あえて注文すれば、警察署内で名づけられる署員たちのあだ名。こういうあだ名は普通なのだろうか?現在的にはやや古色な感じなのだが。あだ名を使わず、登場人物すべて苗字にしたほうが、よりイメージを掴みやすいと思ったが。

作者は現在「もうサスペンスのようなエンタメフィクションは書けない」というような趣旨の発言をしていた気がする。おそらく911や小泉政権の誕生が現実に似たフィクションよりも現実そのものの関心にシフトしたのだろうか。硬質な筆致は変わらないので、この現実に向き合うペンも個人的には歓迎だ。
だが、サスペンスの書き手としての高村薫こそ、という読書愛好家もおそらく多いのだろうな。

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性

小熊 英二 / 新曜社


by ripit-5 | 2006-11-19 20:18 | 本・マンガなど