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昨日は元母校にて

 昨日は元母校にて、先の湯浅誠さんの講演と同趣旨の格差貧困を考える、のこちらは専門家たちによるシンポジウム。元母校といったら中退した学校みたいな言い方ですが、一応卒業はしております。ですが、とても学生として本分を全うしたとはいえないので。恥ずかしくて母校といいにくいんですね。。。
 S学院大学というところなんですがね。。。

 実は学科は違うのですが、その母校に恩師がいまして。いろいろ経緯があって今でも時折時間を割いてもらい、貴重なお話を伺う機会を作っていただいているのですが、たまたまシンポジウムの前に会う約束をしていて、しばらく湯浅さんの講演についてなども含めて話をしたのですが、恩師はまた別に、相当大きな、この国にこれから起きると思われる事柄について強い関心と確信があって。そちらの話を伺いながら、また。かなり「う~む」と考え込みつつJRに揺られて隣の市へ行ったわけです。(これは私の「う~む」癖、と自分で自分に名づけておりますw)。

 少々遅れて会場入り。シンポは基本的には結果として先の湯浅氏の講演の補強というか、そのやや専門分化した説明という感じ。だから問題意識は同じなので、格別目新しいというわけではない。というのは、この会は本日もやっており、本日は分科会会合とのことです。昨日も行ってから気づいたのだけども、会が終了した後に親睦会があるという。つまり、専門家の集まりだったということ。先の北星の会合も参加者はおそらく専門家たちだと思う。何だか、相変わらずどこか場違いな場所にいる?お呼びでない?自分w。

 しかしだ。福祉の専門学者も、いかにも学者学者している人がいるというのは・・・。当たり前のことかもしれないけど。。。また「う~む」と心の中で唸ったりして(苦笑)。普通の市民のためのシンポだと船を漕ぐ人ばかりになるような気もしないではない(笑)。

 その中で札幌勤医協医師の堀毛先生という方のお話は医師として具体的な問題として話を紹介されていたので非常に惹かれました。札幌の郊外に厚別区というのがありまして、「もみじ台」という土地があります。そこにはもみじ台団地というのがまあ昔から目印というか、”もみじ台といえばもみじ台団地”、と連想する土地柄であった時期もありました。今は新札幌商圏が一つのシンボルになっていますが。そのもみじ台団地が東北以北最大の団地だというのは堀毛医師の話で始めて知りました。
 現在、北海道は急速に各地方の医療機関から医者がいなくなっておりまして、根室に医者がいない。そのため、救急患者は根室から釧路まで運ばないといけない。根室釧路間というのは、走ったことがある人はわかりますが凄い距離です。また、北海道は積丹半島に岩内という農漁村中心の市がありますが、今札幌の隣の小樽市の市立病院も救急患者の受け入れが出来なくて、札幌まで搬送している事態になっているそうです。これは相当驚きです。札幌小樽間も高速経由でも最低40分くらいはかかります。岩内小樽間も同程度の時間がかかるはずです。イザという事になったらどうなるか、その恐ろしさは容易に想像できます。地方切捨ての恐ろしさを如実に感じさせられました。

 堀毛先生はそのような北海道の救急医療の現実、また医療過疎の現実を教えつつ、東北以北最大の団地での特に高齢者、1階ではなく上階に住んでいる高齢者の問題を伝えていました。心肺機能等やもろもろの難病を抱える患者さんにとって、部屋を出て医療機関にかかる日が死ぬような思いなのだという話。つまり、階段の上り下りをすることが死ぬような思いなのだと。ここら辺は私も虚をつかれました。団地の構造は知らないのですが、階段が患者にとってかなり急峻なのですね。もちろん、市営団地ですからエレベーターなどはありません。

 そんな具体的な話などもありまして、後は労働問題の先生は介護労働の現場からの調査報告。生活保護の研究の先生は生活保護基準額の問題について。ーこれは相当話が回りくどくて分かりにくかった。それから総括的な立場の先生から、福祉をめぐる1970年代以後から現在までの政治的な文脈も絡めての沿革的な話。70年代の革新自治体の隆盛と、70年代末の革新自治体の崩壊についての発表の中で、革新自治体の崩壊は同和問題をめぐる社会党と共産党の路線対立が先鋭化し、その分裂が原因だったという話は自分には全く初耳の話で、出来れば今後、自分なりにそれは本当なのか当たりやすい文献があればそれを読んで検証できればな、と思いました。

 そんな感じだったけれど、何よりも母校が懐かしかった。(この際、母校と言い切っちゃおう)。それと周囲の風景。先輩が住んでいたアパートがまだ残っているのを見つけて、おお、まだ残っているんだ!と驚いたり。やはりかなりご無沙汰していると言っても、通るたびに甘酸っぱいものをいつも感じる。何だかんだ云っても、たとえ勉強がお留守でも、あの時間は濃密で、青くて、甘い時間だったなと改めて思う。

 それから、北星でもそうだったけど、学生さんのボランティアが本当によくやっている。JRの駅では時間が少し過ぎているのにもかかわらず学生さんが場所が分からない人のためにか、一人立っていたし、広い構内の至る所で誘導のために立って来館者を迎えていた。本当にご苦労さまでした。えらいね。

 あと、大学っていいよなぁ。本当に勉強をやれる環境という空気と設備に満ち満ちているのだもの。だいたい中にいるとイヤなものだけど、出てしまうと、戻って学生をやりたくなってしまう。無いものねだりか!

 さて、俺は何でこんなにナガナガと貧困だ格差だ福祉だのと今更きばってしまったのだろう?長くなったので、日を改めて今度は端的にその動機を書きますね。本日はこれにて。
 

by ripit-5 | 2008-08-31 22:04 | 格差・貧困 & 中流崩壊?