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週末充実の朝日ニュースター

 何だか宣伝臭が臭いそうなタイトルですね(苦笑)。しかし、実際CSの朝日ニュースターは週末、良質なジャーナリステックな討論番組や対論番組がありましてね。
 今朝は朝の「政治学原論」に自民党参議院議長の尾辻さん。この人は先の国会の冒頭質問で経済財政諮問会議や規制緩和委員会などの民間諮問会議の廃止を訴え、場合によっては自民党も野に下るのも恐れず、私も首相についていきます、と語った人。


経歴を見ても父を戦争で失い、経済的理由から防衛大学に入り、それから東大に転学したという。考えてみれば何の政治家になるコネクションを持たない市井人出身。何より厚生行政に通じており、国会代表質問の冒頭で自殺3万人社会の異常さを切に訴える情実の人だ。湯浅誠氏もこの人は認めているはず。ある意味では、このような人が総理になればよいと思えさえする。ただ、ご本人はシャイな感じな人だし、ボス猿争いばかりしている今の政界でトップになるのは残念ながら難しいのだろう。
 朝日の早野さんが聞き手だったが、この番組、残念ながら今月いっぱいらしい。ラストに尾辻さん。番組の良心を感じた。聞き手が早野さんだったのもいい。

 もう一つ、朝日ニュースターで気づいたときにはこの3月で終わりが決まっている加藤紘一の「もう一つの日本」。このところ、イデオロギー時代以後の政治とその社会の文化(「悪玉ナショナリステック」ではない文化)と、文化を見直した上でその国の政治に対する考察を深める形でフレキシブルにゲストを呼んでいた。前回は姜 尚中。加藤紘一と姜 尚中が深い対話をする。まさに時代の変化の可視化であり、加藤紘一の自民党における異色性(すなわち逆説的には先進性)を感じたりもしたものだ。今週は中沢新一。これまた異色な感じ。何だか、季刊誌「SIGHT」の企画のようである(笑)。
 加藤紘一もあの乱さえ起こさなければ今はおそらく首相経験者だったはず。惜しい人材が埋もれてしまった自民党だ。だが加藤紘一も明白な権力闘争を起こして敗北した以上、今は首相も、閣僚の目さえない。だがあの失敗と、その後の自宅放火事件で加藤氏をぐっと人間を大きくした。強くしたと思う。今後の政治が激しい嵐となれば、加藤紘一に目が全くないとは思えない。日本人はけしていつも馬鹿ではない。加藤紘一が与党内評論家程度でいいと思う人ばかりでもないだろう。

 夜、テレビの今を論ずるNHKの討論番組。相変わらず”過剰に中庸”な三宅アナを司会に使うのは不満がないといえないが、この「日本、どうする」は昨年の年金問題からずっと興味ある番組。

 僕は常々書いている通り、テレビに批判的なスタンスの哲学の持ち主。それは思春期の生理と感性に基づくものだろうと今振り返ると思う。

 一つは「豊田商事事件」という高齢者を巻き込んだ巨大詐欺事件があった。その際に暴力団まがいの人がメディア注視の中で豊田商事の社長を殺した事件があった。あの時、カメラマンたちは誰も日本刀を抱えた主犯とその子分を制止するどころか、殺人現場を取ろうと部屋の中にカメラを構えていた。どんな人間であれ、無法に人が殺される。それを制止する勇気がなかったことは今では責められない。だが、興味に乗じてカメラを向け続けるテレビマンたちの態度には行き場のない憤りを感じた。今でも感じる。それが思春期に初めてテレビ報道に疑問を感じた瞬間だった。

 もう一つはいわゆる芸能記者。具体的には「突撃レポーター」の登場である。家のインターフォンを鳴らし、車に乗り降りする芸能人に傍若無人にマイクを向けて質問の嵐を浴びせる。その象徴たる梨本氏。あるいはやたら「ファンにどう釈明するのか!」と自分の強引さを差し置いて居丈高に倫理を振りかざす芸能レポーター、須藤氏。(野党から選挙にも出た。)
 あのような人たちの傍若無人さと傲慢さに対する生理的な嫌悪である。あそこら辺から公共的にはとりあえず羞恥の感情が守らねばならない、という自分の倫理に傷をつけられた気がしたものだ。(もしかしたら欧米ではすでにパパラッチとして存在があったのかもしれないけど。情報が少ない時代に生きたものには覗き見趣味と、そんな自分を嫌悪する感情との矛盾を、平気で突き破る連中に思えた。)

 その彼らが「表現の自由」や「報道の自由」を振りかざすことのいやらしさである。

 自分は実際、嫌なやつで、教科書的な人間なのだ。 
 
 現在の最大の不愉快はズバリ、司祭者・みのもんたによる「みのポリテックス」である。

 今、冷静に言えばテレビっ子だった自分が有料チャンネルでないテレビに思う最大の感想は『映像情報の中央集権』になっているという感覚。そういうことになるかな。
 20代までテレビに恩がある自分にとっては残酷な感想だろうけど。今のテレビマンには申し訳ないけど、もう少し残酷なことをいえば壮大な無駄をやっている気がする。見ている側のレベルを低く見積もりすぎているのではないのかな???。一概には言えないのかもしれませんが。

by ripit-5 | 2009-03-21 20:12 | マスメディア