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朝ドラ「ウェルかめ」がとても良い。

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 NHKの連続朝ドラは前から家人が見ているもので、食事時にてBSでよく見ているというか、見せられてしまっている状況なのですが、まぁ昔から少々この”連続朝ドラ”というのは主人公チヤホヤのご都合主義なんじゃないかという批判的な偏見があったんですよね。それが一度決定的に翻ったのが関西製作の「ちりとてちん」。このエキサイトブログを始めた丁度その頃に放映していました。関東、関西で半年ずつ、変わりバンコの製作ですから、もう6作前くらいになるんでしょうかね?今でも加藤虎ノ介さんが検索ヒット率が当方のブログで一番。しかも一番検索ヒットするのはすでに削除されている彼が昼のNHKトーク番組に出たときの日の映像を貼り付けた記事だと思います。もう、加藤さんには深く感謝せねばならぬのですが、同時に真面目くさった事を一生懸命時間かけて書いている(書いていしまうようになった)当ブログの本意からすると、ちょいとばかり脱臼してしまうのですが(苦笑)。まぁ仕方がありませぬ。それで訪ねてくれるだけでも大変ありがたいことですから。

 で、その「ちりとてちん」後の朝ドラは自分としてはいままでは完全全滅で、多少期待かけては「だめだ、こりゃ」の繰り返し(すみません、生意気で)。特に関東製作の前回作に至っては目を覆うばかり。もう、NHKの朝ドラ製作者たちは完全に方向性が見失ってしまったか?としばらく絶望的な気分でしたので、現在放映中の「ウェルかめ」も最初の2週くらいはほとんどまともに見ていなかったはずです。それが3週目あたりなのかな?徳島で室井滋が編集長役を務める出版社に入社するという話の流れから俄然面白くなってきて、いまかなり真剣に見ています。

 特に先週の末と、本日の内容は本当に良くできていました。その前の海亀博物館の学芸員取材の話もかなり引き込まれつつ見ていたのですが、職業的な舞台が「編集者」という文系人間としては面白い設定だけど、ドラマとしては相当強引なことをしないとなかなか難しい設定を(おそらく)ちゃんと地味な編集者という仕事に関して地道に捉えているところがあるようで、好感が持てます。ドラマとしての骨格がしっかりしており、あまり無理筋なお祭り状態もなく、仕事の内容を伝えるところから自分に引き当てて考えさせられるところも多々あり。とまあ、そんな作りがとても良いです。

 先週末は仕事に慣れてきた主人公が自分の立てた企画で取材し、紙面化した少女の育ての親である祖父が孫を馬鹿にした記事だとクレームにやってくる話でしたが、クレーム者の怒りにヨリ火をつけてしまう軽率なひと言がどんなものであるか分かりましたし、それ以上に本日の番組を見て、そのひと言の「意味」の重さがやっと分かる、という内容でした。
 主人公が本日、記事にした少女とその祖父のやりとりを見て、いままでは「自分にとって満足のいく記事」で納得していて、その記事が持つ社会的な広がりまでは気づいていなかったということのようでした。

 編集長役である室井 滋が安易に人を記事にすることで被取材者が傷つく事とか、あるいはその関係者たちが傷つくかもしれないことへの想像力を「そもそも雑誌というものの媒体そのものが傲慢なもの」といった趣旨の表現をされていた。その言葉がやけに響くんですね。本当に室井滋さんという人は素晴らしい役者さんだと思う。後でNHKの公式HPを調べたら、室井さん、実際に雑誌の編集を手がけた時期もあるそうですね。役柄とは違う、とご本人は仰っていますが、どこかかしこかで、編集者の気持ちがわかるのではないでしょうか。役柄の気持ちというか。

 主人公が頑張りつつも、どこかツッコミを入れやすいボケ役であること、同じ徳島県に住んでいるとはいえ、生家が海辺の遍路宿ということで都会から離れており、主人公の家族のドラマと同時並行に進んでいく形式は「ちりとてちん」と似ています。貫地谷さんと比べると今回の主人公のほうが演技としては自然かな?顔での表情による感情表現等々、役者としての才能が高いような気がします。

 だけどあれですね。表現というものは思わぬところで誰かを傷つけたりすることがあるんですね。それは少しだけでも、どこか頭の隅に置いておかないといけないですね。ごく個人的な場でブログを書いている身ながらも。
 もちろんお金を戴いて買ってもらっている雑誌、ということではあっても、取材や表現が及ぼす読み手への波及効果についてきちんと言及したドラマが現れたことは嬉しくもあり、またなかなか勇気のあることでもあったと思います。

 タウン誌などではなく、メディアが巨大になれば読者や視聴者への感性は必然的に大組織の中では敏感ではいられなくなるのではないかと想像されますが、このドラマの先週や今日の内容を見てメディア当事者の方々はいろいろ考えて欲しいですね。
 むろん、自分も考えるように心がけたいと思います。

 (何だねぇ。結局またマジメなノリになってしまったよ(苦笑))

by ripit-5 | 2009-12-01 20:25 | マスメディア