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不安定な世界で

英国のロック/ポップ音楽を愛するものとして、ここのところの連続ロンドン同時テロやエジプトのカイロでのテロは酷く憂鬱にさせられる事件である。多くのミュージシャン達もこころ痛めていることだろう。

軽率な憶測かもしれないが、やはり2001年の911におけるその後の米国の行動と、それに深く追随してきた英国が、今ターゲットになっていると見るのが哀しいが、妥当な気がする。
911は悲惨なテロだが、その後の国際機関を無視するようなアフガニスタン、イラクへの軍事行動、侵攻は超法規的行為だし異文化への暴力的行為だったといわざるを得ない。アルグレイブ刑務所でのイラク兵に対する侮蔑な行為、そしてキューバに送られたアルカイダと称されたままどのような俘虜的状態か無視された状況。その人権状態をほとんど無視したままのマスコミ。もしも今回もイスラム系の人たちの犯行だとしたら、そのような行為を起こした異民族への復讐と見るのもあながちうがちではないだろう。

しかし、だとしてもテロリストは間違えている。いかに我々近代社会の果実を占有しているともいえる国家に住んでいたにしても、一般人、とくに英国人の大部はイラクへの戦争も、またアフガニスタンの侵攻も反対が多かったのだ。彼らが本来狙うべきは国家の中枢的人物、ごく少数のはずだ。(それでも私はテロルには反対だが)。しかし、現代において見捨てられている人々の国家や地域が存在するのも事実。私たちは効率的にして便利な社会にありつつ、リストラや社会連帯の危機に不安を感じるという非常に矛盾した社会に生きている。911以後の先進国の強権的国家への変貌はわれわれに潜在的暴力が徐々に顕在化する不安を実感しながら生きている。経済の国際競争はより激しくなり、国家間運動会は過熱し、醒めた人や温厚な人は切り捨てられたりついていけない状態。

彼らテロリストがそのような現代社会の不安を行動へと転化する呼び水にならんとしているとはとても思えない。むしろ彼らは市民社会をより不安防衛的で国家の同調圧力に深く埋めさせる方向を呼んでいる。
すると考えられるのはふたつ。一つは徹底した人間間不安を呼び起こすこと。これはいずれはまた、延焼するような「戦争」への連鎖への呼び水である。もう一つはイラクやアフガニスタン、パレスチナで行われるイスラム教徒への侮辱に対する復讐。しかしこの方向はより文化的な方法を用いても耳を傾ける人は傾けるはず。なぜ、一般市民を巻き込むのか。人々はそのような声に耳を貸せる人もいるはずだ。例えすぐに状況は変えられなくとも。

僕はまるでビン・ラディンのような連中と、ブッシュ政権の連中がパラレルに見える。彼らはともに異様な自信を持ち、暴力的な力をためらいなく行使する。そして、その復讐は声明無きテロリズムでどこで一般市民が巻き込まれるかわからない。そう、いつの時代も、といっていいのかもしれないが、危険な時代に一番最初に犠牲になるのは普通の、どちらかといえば立場の弱い市民が多数だ。(普通の人はたいがい立場が脆弱なものだ)。危うい時代が始まっているのだろうか?ぼくにはかなりそのような匂いを感じるのだが

by ripit-5 | 2005-07-23 21:24 | 社会