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これは天下の愚策だ!

Excite エキサイト : 政治ニュース
『政府・与党は29日、追加経済対策の柱とする予定だった定額減税(総額2兆円規模)について、現金やクーポン券などを直接支給する「給付金」に切り替え、所得制限も設けないことを決めた。』(エキサイト:政治ニュースより抜粋)

 これは一種の直接戻し税だろう。政府も認める通り、小渕政権時代に最も評判の良くなかった「地域振興券」という天下の愚策そのままの政策だ。それを総ての国民相手にやろうというわけだ。あきれる。一体、費用対効果がどれだけあるというのか?その計算の目安はあるのか?
 小渕政権においてもっとも愚の愚だった政策が公明党肝いりによる「地域振興券」だった。あれが日本の消費を押し上げたなどという話は聴かない。

 いわば、言葉を最大限悪く、そして乱暴に云えば、2兆円を1億人に配るわけだから、親が無意味に小遣いを子どもに2万円やる、というのに近い。それもその場限りの2万円だ。お金が無い人は貯蓄するだけだろう。逆に金持ちにとってその2万円にどんな価値を見出すだろう?もしも、2万円をもらったとして、それは国民の税金なのだ。つまり自分だけでなく、他人が払った税金をただ、2万円もらうということだ。このお金に普通の人はどんな「価値」を見出すだろう。そもそも、自分の労働の対価ではないものに対してだ。正直、恥ずかしくて使えない。かといって受け取らないぜ、と格好をつけることも現状では結構、難しい。これは冗談抜きに罪で暗愚な政策だ。国民に目の前にニンジンをぶら下げる。そしてあわよくば票にしたいと。

 このように、只の戻し税は最も策として考えの無いものだ。考えの無い政策を。あの小渕政権の「地域振興券」的なものが。またぞろ、フラッシュバックする。
 税の還付というものも人は社会的モラルを意識せずして意識する。その後に登場した小泉政権は今思えば、ウソかホンネかしらないが、「借金を未来の世代に廻せない」と言い切った。そこから派生した言葉が「痛みに耐えて頑張ろう」なのだ。実際、普通の人たちは痛んだ。小泉構造改革念仏をともに唱えた政治家も痛んでくれたかどうかは知らないが。それを、小泉政権で要職に就いていた現首相がまた小渕政権と同じことをしようとしている。天下国家論ぶった小泉路線を投げ捨て、こんな言葉を使いたくないが、「愚民化政策」にリバイバルする。

 結局、間違えてはいけないということなのだ。「緊急経済対策」も「構造改革」も同じ自民党内で行われ、自公政権で行われているのだ。緊急経済対策はすべきだ。だけれども、これでは方向性がおかしい。おかしすぎる!

 すべきは、これから増えるであろうまたぞろの社会不安に向けた対策だ。
 必要なのはセーフティ・ネットを張り直すこと。
 具体的には若年不安定労働者、高齢者、そして中間層では年収が約400万以下の世帯だ。

 まず、今や黒字となった雇用保険の受給資格を元に戻す。過去は6ヶ月で得た受給要件は社会保障削減でいまは1年以上勤務していないと受給要件を満たさない。これを6ヶ月に戻す。もうひとつはハッキリ減らされている給付期間を元に戻す。他には減らされた状態の教育訓練給付を増やす。この給付をよりきめ細やかにし、場合により、受給要件を緩和する。そして出来れば政府の職業訓練を大幅に受講できるようにする。いま「ICU入り」している金融の安定化対策と同じように、次に来たる失業者の増大に向け、前もって備えをしておくべきだ。

 繰り返すが、定額減税は愚策。一般人が税が政府によって使われるとするなら、社会の安定のために、と思うのが普通の感性だろう。ただお金を戻されて喜ぶほど馬鹿じゃない。であるならば無くなったことで苦しみが増している「配偶者控除」「高齢者控除」を復活させるべきだろう。そのほうが普通の人たちの懐が安定する。

 もうひとつは、政府が出来ない社会安定・社会福祉に寄与している非政府機関を支援する。ネットカフェ難民などのホームレス支援や、自殺予防支援をしているNPOなどの仕事の支援をする。自殺予防に関しては、秋田県方式を全都道府県に周知し、体制を作るように促す。

 少なくとも、定額減税をするくらいなら、定率減税をするほうがまだマシ。それ程愚策だと思う。税の使われ方でこれほど反モラリステックなものはない。納税した人たちにとれば、このような税の使われ方をするなら、いずれしっぺ返しをしたくなるだろうと思う。

 どの政党が言いだしっぺなのかは大体想像つくけれども、いくら経済の緊急事態とはいえ、このような無為な方法は本当に止めて欲しい。僕が上記に書いたことのどこかにフォーカスするだけでも2兆円以上かかる、というのだとしても、僕はあくまでもばらまきではなく、政策的用途に使って欲しいと切に願う。頭を使えば絶対、2兆円の有効な使い道はあるはずだ。多くの人が「なるほど、これなら効果があるよね」というものが。

 ポイントは若年不安定雇用、後期高齢者、子どもを持つおよそ400万以下年収の中間層だろう。

by ripit-5 | 2008-10-29 20:46 | 社会